【障害年金を知る②】自分で手続きをする~受給までの流れとポイント~
障害年金の請求をしたいと考えている方の中には、手続きが難しそう…自分でもできるかな?と不安に思われている方も多いのではないでしょうか。
障害年金の請求手続きは、社会保険労務士に代行を依頼する方法もありますが、まずは自分でやってみようと考えている方へ…障害年金請求手続きと受給までの流れと自分で請求手続きを行う時に注意するポイントについて解説します。
①まずは自身の病歴・通院歴の整理からスタート
②請求の流れ~手続きを完了して受給決定・入金まで約半年~
③自分で請求手続きを行う時のポイント
① まずは自身の病歴・通院歴の整理からスタート
障害年金の請求にあたっては、症状を感じて初めて病院を受診した日=初診日を明らかにすることが重要です。まずはご自身の病歴・通院歴を整理することからスタートします。社会保険労務士に依頼する場合でも同様です。
以下の観点でメモにまとめてみましょう
①傷病名
②どのような症状があるか?(どのような症状で日常生活に支障があるか?)
③自覚症状を感じた時期(〇年〇月頃)
④病院を受診するに至ったきっかけ、当時の状況
⑤初めて病院を受診した日と病院名
※日付が確認できるものがあれば手元に用意しましょう(領収書・お薬手帳・診断書など)
⑥それ以降の通院歴
〇年〇月~〇年〇月:××クリニック
〇年〇月~〇年〇月:▲▲病院
これらの情報がまとまったら、ご自身が行きやすい場所にある年金事務所の相談予約をします。住所にかかわらず、どこの年金事務所でも大丈夫です。
年金事務所での相談予約
相談に行く年金事務所を決めたら、予約を取ります。障害年金の相談時間はMAX1時間となります。
電話で予約する場合、病歴情報を尋ねられますので、必要に応じて上記でまとめたものを伝えてください。
基礎年金番号がわかれば、インターネットでも予約ができます。インターネット予約の場合は、フリーで入力する箇所に、①傷病名と⑤初めて病院を受診した日と病院名を入力しておくと、スムーズに年金相談を開始することができます。
時期にもよりますが、予約できるのは1~2週間後の日付となります。
② 請求の流れ~手続きを完了して受給決定・入金まで約半年~
請求手続きが完了し、受給が決定し年金が入金されるまで、約半年かかります。障害年金の請求書類の準備に要する期間は1~2か月ですので、実際年金が受給できたとして入金はかなり先になる…ということを念頭に置いて、準備をはじめます。
【1】年金事務所で初回相談+初診日の特定
自身の病歴・通院歴を伝えます。領収書やお薬手帳、事前に病院への電話確認等により初診日が特定できれば、年金請求に必要となる保険料の納付要件を確認します。要件を満たしていれば、請求に必要な書類の案内を受け、記入・提出が必要な書類を受け取ります。
初診日がはっきりしない場合は…?
まずは初診日の証明ができるもの(受診状況等証明書)を最初に受診したと思われる病院で作成を依頼することになります。その記載内容をもとに初診日を確定します。
ただし、前医がある旨が記載されていた場合は、前医の病院で初診日の証明をしてもらう必要があります。
初回相談時に初診日が特定できなかった場合は、請求に必要な書類の案内を受けるために、何回か年金事務所に相談に通うことになります。
【2】案内された提出書類を用意する
提出書類は請求する人によって全く異なります。提出書類が少なくて済む方もいらっしゃれば、かなり多くなる方もいらっしゃいます。ざっくり分類するとこれらの書類の準備が必要です。
カテゴリ | 書類名 | 補足 |
医師に作成を依頼するもの | ◆診断書(状況によって複数枚) ◆受診状況等証明書(初診日が証明できるもの) | 診断書は年金請求用の指定された様式があり、仕上がるまで1か月以上かかる場合もある |
自分で作成・記入が必要なもの | ◆年金請求書 ◆病歴就労状況等申立書 ◆その他の各種申出書 | 病歴就労状況等申出書を作成するのが負担に感じる方が多い。 ★書き方のコツはこちら★ |
その他用意が必要なもの | ◆受取金融機関の口座番号が確認できるもの(通帳など) ◆障害者手帳(所持している人) ◆戸籍謄本・住民票 ◆所得を証明するもの | マイナンバー記載により戸籍謄本、住民票、所得証明の提出は省略できる場合あり |
年金事務所の相談窓口ですぐに記入して提出できるような書類だけでなく、医師に依頼して作成してもらうものや記入にかなり時間を要する書類もあります。書類がすべて揃うまで最短で約1か月と見積もってください。
【3】書類一式の提出~審査
書類一式がそろったら年金事務所の相談窓口に提出をします。郵送でも提出できますが、記入の不備等があった場合にその場で追記・修正ができますので、相談予約をして窓口で提出するのがおすすめです。
書類の記入漏れ・不備や不足書類があった場合は、差戻し・再提出となり、書類一式が揃わないと審査に進みませんので、結果的に年金決定まで時間を要してしまうことになります。また、審査の過程で、年金事務所等より確認の連絡や追加で資料の提出を求められる場合もあります。
提出から約3か月後に審査結果が郵送で届きます。
【4】審査結果受け取り~入金
障害年金の等級に該当した場合、支給決定通知書・年金証書が届きます。通知書を受け取ってから1~2か月後が初めての入金というスケジュールになります。
③ 自分で請求手続きを行う時のポイント
自分で請求手続きを行う際は、以下のポイントを押さえて進めることが重要です。
【1】年金事務所での初回相談時に初診日等の必要情報をしっかりと伝え、請求書類の案内を受ける
【2】障害年金の仕組み・制度を正しく理解したうえで必要書類を用意していく
◆いつ時点での症状で等級が判定されるのか?
◆証明する書類として何を用意したらよいか?など
!これらが正しく認識できていないと、診断書の作成を再度依頼しなくてはいけなくなったりするなど、想定外の出費につながってしまいます。
【3】診断書を作成する医師に自身の状況や症状を正しくしっかりと伝える
自分で作成する書類も、主観的な感情ではなく客観的な事実を中心にまとめる
通院のタイミングや診断書が仕上がる時期、提出のための年金事務所の相談予約など、ご自身でスケジュール管理をしっかり行うことが大切です。
自分で手続きがやれそうか?
まずは自分で手続きをやってみようと思われた方は、ぜひ年金事務所の窓口に足を運んで相談をしてみてください。必要書類の案内を受け、自分でやれそうだなと思われたら、そのまま進めてください。
◆相談窓口で説明を受けたけれど、なんだかよくわからなかった/むずかしかった
◆この後、何を用意したらいいのかいまひとつ理解できなかった
◆自分ですべての書類を正しくそろえられるか不安…
◆自分でこの書類を作成するのはきつい、どう書いていいかわからない
◆また年金事務所に行くのは大変だな…
このように思われた方は、社会保険労務士に依頼する方が着実に請求手続きを進めることができます。
初回相談は自分で年金事務所に行った、自分で途中まで進めたものの行き詰っている…という方も、不安だなと感じた時点から、ぜひご相談ください。途中までご用意いただいたものを引き継ぎ、着実に提出・審査につなげます。