【老齢年金】基礎年金のみ繰下げ請求がおすすめの方
こちらの記事で老齢年金の繰下げ請求について紹介をしました。
繰下げ請求をされる方は実際あまり多くはないのですが(8割くらいの方は65歳から普通に年金を受給されています)、以下のような方から相談を受けた場合は、老齢基礎年金のみ繰下げ請求/老齢厚生年金は65歳受給をおすすめすることが多いです。
★厚生年金に20年以上加入して勤務し、年下の配偶者がいる方
65歳から加給年金という家族手当のような加算を月3万程度受け取ることができます。
この加給年金の条件は、65歳時点で
①自身が厚生年金に20年以上加入していること
②年金を受給していない年下の配偶者がいること です。
★配偶者の年金加入履歴や受給状況によって加給年金の有無は変わります
加給年金は永久に受け取れるものではなく、配偶者が老齢基礎年金もしくは20年以上加入した老齢厚生年金を受け取れる年齢になるまでの間限定となります。この期間限定での加算で老齢厚生年金の一部となりますので、老齢厚生年金の繰下げ請求のため待機している間はその加算は受け取れません。
月3万はかなり大きいですので、加給年金を受け取れる方は65歳で老齢厚生年金を請求するのがおすすめです。在職中で報酬が高いと老齢厚生年金の方は支給の制限がかかりますが、全額支給停止でなければ加給年金は受給できますので、若干の支給停止が入る状態でも老齢厚生年金は65歳から受け取るのがおすすめです。
繰下げ請求に関心を持っている方は、基礎年金/厚生年金セットで繰下げ請求を検討される方が多いですが、この場合は基礎年金のみ繰下げ待機し、厚生年金は65歳での請求をおすすめします。
★厚生年金の加入期間が短く、老齢厚生年金の受給金額が多くない方
結婚してからずっと夫の扶養に入っていた(3号期間が長い)という方は、老齢基礎年金の受給金額の方が圧倒的に高くなります。繰下げ請求の増額率は1か月あたり0.7%のため、原資が多ければ多いほど増額のメリットを受けられます。
例えば70歳で受給開始とすると、増額率は0.7%×60か月で42%増となります。以下を比べてみると老齢基礎年金の増額分の方が魅力的です。
老齢基礎年金が80万/年とすると、113.6万円/年(+33.6万)
老齢厚生年金が10万/年とすると、14.2万円/年(+4.2万)
遺族年金の受給を考慮
配偶者が亡くなると遺族厚生年金を受給できる場合があります。自分の老齢年金にプラスして遺族年金の受給となりますが、遺族年金は自分の老齢厚生年金と調整がかかります(老齢厚生年金が増えると遺族年金の受給額は減ります)。
一方、老齢基礎年金は遺族年金との調整がかかりませんので、老齢基礎年金は増やしておくメリットが大きいです。
配偶者がいて、3号被保険者期間が長いという方は老齢基礎年金の繰下げ請求がおすすめです。
老齢基礎年金は繰下げ待機して年金受給額を増やし、老齢厚生年金は65歳での請求をおすすめします。