障害年金の請求時期には「認定日請求」と「事後重症請求」の2通りがあります。それぞれの違い、特徴についてまとめます。
初診日と障害認定日について
初診日とは
障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日をいいます。
同一の病気やけがで転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日が初診日となります。
例えば、うつ病で心療内科に通院されている方でも、気分が悪く食事ができない、何か体調がおかしいな…と身体に異変を感じてまず内科を受診し、その後心療内科を紹介された場合、初診日は体調に異変を感じて初めて内科を受診した日となります。
障害認定日
障害の状態を定める日のことで、その障害の原因となった病気やけがについての初診日から1年6カ月を過ぎた日、または1年6カ月以内にその病気やけがが治った場合(症状が固定した場合)はその日をいいます。
以降は、1年6カ月を過ぎた日を障害認定日として解説します。
請求時期2パターン
①障害認定日による請求
初めて病院を受診した日から1年6か月を過ぎた日=障害認定日において、法令に定める障害の状態にあるときは、障害認定日の翌月分から年金を受け取る権利が発生します。
【特徴】
・障害認定日の翌月分からに遡って年金を受給することができる
※ただし、遡及できるのは5年前までで、初回入金時に一括して入金される
※実際に請求した日付から起算して5年となるので、請求が遅れた分だけ時効により受け取りができない金額が増える(このケースの場合はH29.7以前の分は時効により消滅します)
・請求日が障害認定日から1年以上経過している場合は、障害認定日時点での診断書と請求時点(現時点)での診断書の2通が必要となる
・障害認定日時点では障害の状態にあると認められなかった場合は、事後重症請求に切り替えることもできる(障害給付請求事由確認書という届出書をあわせて提出する)
【障害認定日による請求ができる方】
・今も当時も症状は変わらない、むしろ当時の方が症状が悪かった
・初めて病院を受診した日から1年6か月を過ぎた日以降3か月の間に病院受診歴がある
・その期間内に受診していた病院がまだ存在しており、当時の状況を証明できる診断書を作成してもらえる見込みがある
②事後重症による請求
初めて病院を受診した日から1年6か月が経過した日においては、法令に定める障害の状態に該当しなかったが、その後症状が悪化して法令に定める障害の状態になった場合は、事後重症による請求となります。
この場合は、障害年金の請求を行った日の翌月分から年金を受け取る権利が発生します。
【特徴】
・請求を行った日の翌月分からの年金発生となるので、請求が遅れると受給時期も遅れる
※2023年9月4日に請求書類を提出した場合は、2023年10月分の年金より受給できる
・現時点(有効期限は請求日前3か月以内)での症状を証明する診断書1通のみの提出でよい
※2023年9月4日に提出する場合は、診断書に記載された現症日は2023年6月5日~9月4日の範囲内であること
【事後重症による請求となる方】
・初めて病院を受診した日から1年6か月経過時点では症状は軽かった
・何らかの事情(※)により、初めて病院を受診した日から1年6か月を過ぎた日以降3か月の間の症状を証明する診断書を提出できない
(※例:その期間は病院を受診していなかった、病院は受診していたが、その病院はすでに廃院になっている、かなり前になるのでカルテが残っていない、など)
どちらの請求になるかによって、受給できる金額総額と提出書類が異なります。自分はどちらの請求となるか?の参考としてください。
事後重症による請求で、障害年金を受給している方が、認定日による請求に切り替えることもできます。その場合はこちらの記事をご覧ください。
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