先日、愛知県社会保険労務士会の広報活動として、法律・会計系の主な国家資格の取得(試験)や資格取得後の活用方法などについて、大学生に対して説明・相談を行う場となる「資格業ガイダンス」に参加をしました。
学生さんとお話をする中で、社会保険労務士の勉強をしようと思ったきっかけや合格を目指して勉強をしていた頃のことを思い出し、これから合格を目指す方の参考になればと思い、記事にしてみました。

社会保険労務士という資格を知ったきっかけ
私は20代の頃からいつか独立開業したいと思っていて、まずは会社できちんと仕事ができるように、そして経営のことを学びたいと思い、26歳の時に中小企業診断士の勉強をすることにしました。3年かけてギリギリ20代で合格、合格後は会社で資格を活かす機会が与えられ、新規事業の創出に携わったり、何度も社長賞を受賞したり、腐っていた会社員生活が一変しました。会社で楽しく仕事ができるうちは会社で仕事を続け、いつかはこの資格で独立したいという思いで、休日に創業スクールに参加しました。
起業について学ぶ中で、個別相談の際、講師より「中小企業診断士は独占業務がないから厳しいかもしれない。今まで会社で人材育成とかやってきたなら、独占業務のある社会保険労務士の資格を取って独立をするのがいいかも」とアドバイスをもらい、社会保険労務士という資格を知りました。
この時、時は10月。翌年8月の試験での合格を目指すべく、勉強を開始しました。
短期間で合格するためのポイント
中小企業診断士に合格するまで3年かかってしまった失敗を踏まえ、以下の点を意識して勉強をしました。
①資格の予備校で身銭を切って勉強する
独学の方が本を買うだけなので初期投資は安いですが、予備校では試験に出るポイントや勉強をしないといけない部分を教えてくれるので、少ない勉強時間で済みます。分厚い参考書で学ぶのは大変、でも予備校の薄いテキストには、要点がまとまっているという付加価値があります。
講座を受講するにはそれなりの費用がかかりますが、自分の大切なお金を払うことで、途中で投げ出せない・逃げられない状況となり、会社に強制されて勉強をする(会社が費用負担する)よりはるかに勉強に集中できます。私はTACの一番ベーシックな講座(オプションなし必要最低限の内容のみ)を選択しました。
身銭を切る分は、国の制度「教育訓練給付金」をきちんと利用することを忘れずに!
②テキストを手にしたらまず「目次」を覚える
各科目の講義が始まります。各科目のテキストを手にしたら、まずは「目次」を記憶します。これから何を学ぶのか?どういう構成になっているのか?これから学ぶ項目の全体像、箱を頭の中にイメージします。描いた箱(枠)の中にこれから知識をインプットしていきます。
全体像が描けているとスムーズに知識が収納できます。目次を覚える目的は、問題を解いていてわからない場合、どこを調べればいいか?がわかるようになることです。
③自分のペースでやればいい、けど遅れは2週間以内を死守
私は予備校のリアルタイムの授業は参加せず、自分の都合がいい時に予備校でDVDを見る、という形式で勉強をしていました。ただし、リアルタイムの授業スケジュールより2週間以上遅れないように気を付けていました。試験まで何が起こるかわからない、勉強できない期間があるかもしれない、そうなったら8月までに間に合わなくなると思い、2週間と設定しました。
※実際勉強できない期間が3~4月頃に1か月ほどあり、それまで遅れなく進められていたので、何とかGWを使ってリカバリーできました

④演習・問題集から着手する
テキストより先に演習・問題集をチェック。穴埋めになっている問題を見て、テキストで該当部分を探してマークするところからスタート。テキストを順番に読んでいくことはせず、問題を解くために必要な部分をテキストで探して読むようにしていました。これをやるために、目次を記憶する必要があります。目次を覚えていれば、ラクに該当場所を探せます。
⑤ダラダラと勉強をしない、適度に遊ぶ時間を作る
中小企業診断士の勉強をしていた時、平日は会社が終わってから毎日3時間(22:00-25:00)、休日は土日どちらもTACの自習室が空いている時間(計15時間くらい)はずっと勉強をしていました。ダラダラとやるのはよくない!と思い、勉強をする時間を決めました。
◆1週間で2コマ(計5時間)、必ずTACで授業を受ける
◆平日はTACに行かない日は自宅で最低1時間やる、ただし、24:00までには勉強を終える
◆土曜日はTACの自習室で1日勉強する、日曜日は好きに過ごす(暇だったら勉強する)
日曜日はゲーム(モンスター狩って剥ぎ取る沼ゲーム)やって遊んでいました。遊ぶために土曜日までに1週間分を計画を立てて終わらせるようにしました。
⑥実力テストや模試の結果に凹まない、諦めずに最後までやりきる
各科目TACでは実力テストがあり、労働保険科目は6~7割取れていたのですが、健康保険が100点満点中24点しか取れず、健康保険にものすごい苦手意識が生まれてしまいました。そして、6月に模試を受けた結果、成績は下位20%…><
合格するには上位5%に入らなくてはいけないのに。
そこから私は奮起しました。残り2カ月の勉強がこちら。

本番当日、やれることはちゃんとやった、ダメかもしれないけど最後までやり切る。そう思い、試験会場に行き、問題を見ると…

あれ?!今までの模試より、なんか簡単な気がする…!
今日がいちばん出来てるかもしれない!
結果、試験当日が一番デキが良く、合格することができました。※(H30年)合格点は選択23点以上、択一45点以上
労基 | 労災 | 雇用 | 労一 | 社一 | 健保 | 厚年 | 国年 | 合計 | |
選択 | 3 | 4 | 5 | 4 | 4 | 5 | 5 | 4 | 34 |
択一 | 8 | 7 | 6 | 5 | – | 8 | 8 | 7 | 49 |
実力テストで100点満点中24点しか取れなかった健康保険が、最終的には一番高得点だったので、結果に凹まず試験までにやれることをしっかりやる、ということが大事です。
試験が終わったら
身銭を切った分、忘れずに教育訓練給付金の申請。給付されたのは3万ちょっとで、実質のTACへの投資は約12万。その他参考書は一切買っていません。合格したら、会社から報奨金10万円が支給されましたが、事務指定講習の費用に充てました。
効率よく勉強する
結果として勉強期間11カ月で社会保険労務士試験に合格することができました。直前2か月に集中して努力できたから合格できたと思っています。社会保険労務士試験に限らず、どの資格でも使える勉強法だと思いますので、よかったら参考にしてください。