県内学校向けに「出前授業」を実施しています。働くときのルールや制度を知って安心して働けるように、年金や医療などの社会保障が支え合いであることを理解してもらえるように、それぞれの年齢に応じてわかりやすく解説し、キャリア教育を支援しています。
2024年度に実施した特別支援学校高等部2年生向けの出前授業を紹介します。
高等部2年生向け授業
特別支援学校では「職業」という科目の授業があり、「職業」の授業の一環として担当させていただきました。2年生の授業は3学期2月の実施となり、2年生はこれから企業での実習や就職活動をする、という時期で進路を考えるタイミングでの実施となりました。
高等部3年生の授業では、就職した後に受け取る給与明細の話と働いて稼いだお金の使い方を中心に取扱いましたが、2年生の授業では、一人暮らしにかかるお金と働いて稼ぐ場合の就職先(一般就労/福祉的就労)、自分を守るために知っておきたい働くルール(労働基準法)、稼いだお金を賢く使おうというコンセプトで「知っておきたい働くルールとお金のはなし」と題して授業を行いました。
◆3年生向けの授業はこちら
授業内容
この3つを主なテーマとして授業を行いました。
①ひとりぐらしにかかるお金
②働いてお金をかせぐ
知っておきたい働くルールについて
③【クイズ】お金がたまる社会人の行動と心がまえ
これから社会で働くみなさんへのメッセージ
まず一人暮らしにかかるお金として総務省の統計データをもとに、具体的に何にいくら必要なのか?というところを紹介しました。総務省の統計データでは約16万必要ということで、一人暮らしをするにはこれだけ毎月働いて稼ぐ必要がある、ということをお話しました。
働くのが難しい場合は、障害年金を活用できる場合もあるということを社会保険労務士としてあわせてお話しました。

働いてお金を稼ぐということで、障害のある方の就職先について解説をしました。一般就労と福祉的就労に分けられ、一般就労とA型事業所で働く場合は、労働基準法が適用され、働く人を守るためのルールがある(B型事業所で働く場合はあてはまらない)ということをお話しました。
ワークルールクイズ
次に知っておきたい働くルールとしてクイズを3問出題しました。そのうちの1つ、最低賃金に関するクイズです。

君の仕事はここで機械を見ているだけのカンタンなお仕事。
時給は900円で十分だよね!
こうやって上司に言われたら皆さんはどう思いますか?と生徒のみなさんに問いかけました。
◆カンタンな作業だし仕方がない
◆そんなことはない、900円は低すぎる! どちらかに手を挙げていただきました。


正解は「そんなことはない、900円は低すぎる」なのですが、生徒全員が「カンタンな作業だし仕方がない」に手を挙げました。その理由を聞いたところ…

機械を見てるだけだし、自分が直接作業をしているわけじゃないから、時給900円でも別にいいと思う。

カンタンじゃない「普通」の仕事の時給がわからないけれど、やるのが「カンタン」な仕事なら普通の仕事の時給より低くても仕方がないと思う。
といった意見が挙がりました。最低賃金というルールと愛知県は1,077円という金額に驚く生徒が多かったです。先生から「一般就労とA型事業所で働く人が対象ですよ!B型事業所で働く場合はこんなに受け取れませんよ」と補足をいただきました。他、8時間を超えて働いた場合の割増賃金や病院へ行くための有給休暇についてクイズ形式で解説しました。
賢くお金を使おう

3年生の授業と同じ形式で、社会人2人の1日の過ごし方、お金の使い方を見て、どちらがお金が貯まるか?クイズ形式で考えていただきました。
まとめて買い物をする、電子マネーを活用するなど、賢くお金を使って生活にかかるお金を節約して、自分の好きなことに使えるお金を増やす方法について紹介しました。
生徒の皆さんへのメッセージ
最後に、障害を持つ方と一緒に仕事をしていた私の経験から、会社の先輩の立場としてみなさんに期待することや働く上での心がまえについてお話をしました。
①毎日休まず元気に会社に来てほしい~毎日安定して勤務できることはとても大事なこと~
②明るく挨拶をすること~挨拶はコミュニケーションの基本~
③敬語を正しく使う~会社の同僚は友達ではない~
これから就職活動や企業での実習をする上でも、ぜひ意識してほしいポイントとしてこの3つを伝えました。さきほどまでのクイズとはガラッと変わって真面目な話になりましたが、生徒の皆さんはしっかりと話を聞き、この点を受け止めていただけたのではないかなと思います。
授業をきっかけとして進路の見直しをする生徒さんも
授業をきっかけとして、進路の見直しをする生徒さんがいらっしゃったそうです。就職先はB型事業所を希望していたけれど、生活のことを考えて、好きなことでなくてもある程度給与がもらえる進路先(A型事業所)を探そうとし始めているそうです。
授業をきっかけとして、働くことに挑戦しようという気持ちが芽生え、行動につながったことがとても嬉しく思いました。進路が決まった後ではなく、進路を決めるこのタイミングでキャリア形成のお手伝いができてよかったと感じています。

これから就職活動や企業での実習をする中で、今回の授業で学んだ「働く」ということを意識して、精一杯がんばってください!