出前授業を実施しました~お金の話&社会で働く心がまえ~

キャリア支援

愛知県社会保険労務士会の社会貢献事業の一環として、県内学校向けに「出前授業」を実施しています。働くときのルールや制度を知って安心して働けるように、年金や医療などの社会保障が支え合いであることを理解してもらえるように、それぞれの年齢に応じてわかりやすく解説し、キャリア教育を支援しています。

昨年取得したキャリアコンサルタント資格のご縁がきっかけとなり、2023年12月に名古屋市内の特別支援学校にて、出前授業の講師をさせていただきました。

「職業」の授業として実施

特別支援学校では「職業」という科目の授業があり、「職業」の授業の一環として担当させていただきました。職業の授業では、1人暮らしをするのにどれくらいお金が必要か?ということも学んでいるそうです。先生方と授業内容の打ち合わせにおいて、「お金」をテーマとして授業をしてほしいとご要望をいただき、障害のある方々と一緒にオフィスで働いていた私自身の経験も踏まえて、「これから社会に出て働く皆さんへ~お金の話&社会で働く心がまえ~」と題して70分の授業を行いました。

授業のテーマ

社会保険労務士として障害年金についても少し触れながらお金についてこの3つのテーマを中心にお話をしました。

①お給料の仕組み
 給与明細の見方、社会を支えるお金(社会保険料)、給料は全額手元に残るわけではない
②自由に使えるお金を増やすには?~給料の使い道~
③お金がたまる働き方と心がまえ

授業の冒頭で、生徒の皆さんにこんな問いかけをしました。

Q.皆さんは何のためにお金を稼ぐのでしょうか?

私が用意していた答えは
◆生活のため
◆欲しいものを買うため(推しのグッズとか)
◆大切な人にプレゼントをするため(初任給で親にプレゼント)
でしたが、いろいろな声をいただきました。例えばこんな声も…

一人暮らしをしたいからお金を貯めたいです!

老後のためです!2000万円を貯めなくてはいけないからです!!

これから社会に出て働くにあたって、このためにお金を稼ぐんだ!という目的意識を持つことはとても大切なことだと私は思います。それが仕事を続けるモチベーションにもなるからです。

社会を支えるお金~社会保険料~

給与明細で天引きされるお金について、なるべくわかりやすい言葉を使いながら説明するよう心掛けました。自分たちがいる学校や利用している福祉サービスは、働く人たちから集めたお金で成り立っていること、そして働いて給料をもらうようになったら、今度は自分が社会を支える側になるということをお話しました。

昨今、社会保険料はどんどん増えていて、手元に残るお金が減ってがっかりするかもしれませんが、それは社会を支えるためのお金で自分たちが社会を支える側になる、と思うと少し前向きな気持ちを持ってもらえたかなと思います。

お金がたまる働き方

授業の後半ではA子さん・B太郎くん2人の1日の会社員生活を比較しながら、お金がたまる働き方・心がまえを一緒に考える時間としました。どちらも私の実体験に基づく会社での1日です。

早く起きてちゃんと定期券ルートで会社に行く、弁当を持っていく、決められた時間内で一生懸命仕事をする、コンビニで買い物はしない(同じものはスーパーで買うようにする)、自分の将来のためにお金をつかう(飲み会に行くのをやめて資格の勉強をする)…こうしてお金が貯まったから、会社を辞めて今自分の事務所が開業できています。

生徒の皆さんは登場したA子さん・B太郎くんに感情移入しながら、「飲み会は断れなかったのかな?」とか「できるだけ自分でご飯が作れるようにしたい」など、様々な声があがりました。このパートが一番、生徒の皆さんの反応がよかったかなと思います。

会社で働くための心がまえ

早くお金を貯めるにはどうしたらいいか?…それは会社に入ったら、まずは与えられた仕事を一生懸命集中してやることが重要だと私の経験も踏まえてお話をしました。どんな仕事でも一生懸命やることで、新たな発見がありますし、一生懸命やるその姿勢を周囲は必ず見ています。その姿勢が信頼につながり、新たな仕事やチャンスが来て、できることが増えて楽しくなり、給料アップも見えてきます。そして、集中して仕事をするには、健康で元気に働けるよう体調管理が必要です。

障害を持つ方の中には、勤務が安定しない方も少なくないので「毎日休まず元気に会社に行く」…これだけでも立派な強みで、信頼につながります。

毎日学校に行くために早く起きて、決められた時間に毎日学校に行く、先生の言うことをしっかり聞く、クラスの友達と仲良くする、学校のイベント(運動会など)ではクラスの仲間と協力してやり遂げる、学校でやってきたことは会社に入っても同じなので、学校で学んできたことは社会に出ても実践してください、というメッセージを最後にお伝えしました。

授業を終えて

生徒の皆さんは終始、熱心に話を聞いてくださり感謝です。私が高校3年生の頃は、こんなことを考える機会もなく、ただなんとなく大学に進学したのですが、特別支援学校では「職業」の授業を通じて、働くことへの意識を強く持っており、生徒の皆さんはとてもしっかりしているなという印象を持ちました。

授業の最後にアンケートを書いていただきましたが、自分の課題や社会に出て働くこれからの決意表明を書き、私のところに来て、それを直接伝えてくださった生徒さんもおり、とても嬉しかったです。学校という場に足を踏み入れるのはかれこれ20年ぶりでしたが、私自身も楽しく授業をすることができました。

生徒の皆さんが今回の授業での内容を実践し、就職した会社で、元気に楽しく、そして長く継続して働けることを願っています!!