「士業のための『映える』パワポ資料作成術」が2024/8/30に日本法令より出版されました。
社会保険労務士の私がなぜパワポの資料作成をテーマとしたセミナーを行い、それがDVD発売にまで至ったのか?その背景を紹介します。
私が開業するまでどのようなことをしてきたか?はこちらの記事で紹介をしています。社会保険労務士の実務経験は全くなく、未経験からのスタートです。
強みの発掘からDVD発売に至るまでの道のり
社会保険労務士としては何をやるにも未経験なので、何をやっても同じ、…だから何でもやってみようという思いで、声がかかった仕事に全力で取り組むというスタンスでした。
そして、このDVD発売に至った最初のきっかけはなんと「年金」でした。
会社員生活では全くが縁がなかった年金分野に飛び込む
声がかかったのが、年金事務所の相談員でした。社労士の試験勉強をする中でも、年金科目は可もなく不可もなく…苦手でも得意でもない、印象の薄い分野でした。
実務経験が全くない状態で、年金事務所の相談員の仕事をスタートすることになり、日々必死に勉強をしました。ただOJTで先輩社労士の対応を見学するだけ、ただ勉強会に参加するだけでは、いつまでたっても上達しないと思った私は、自分が前に出る、勉強会は参加ではなく「主催」するということを意識しました。
そこで、当時年金相談の仕事を始めたばかりという仲間4人で、愛知県社会保険労務士会の認定スタディ―グループ(自主勉強会)を立ち上げることにしました。
自主勉強会で事務局運営&資料作成
自主勉強会を運営するにあたり、自分が講師となって発信するためにパワポ資料を作成したり、案内文書の作成なども行っていました。
もともとこういう「事務局」の運営は会社員時代によくやっていて、部門横断プロジェクトの事務局や会議運営を日常的にやっていたので、段取りや資料作成は当たり前のようにこなしていました。
部門長を対象にパワポ資料を使って勉強会講師をやることもありましたし、半年に1回、事業計画のプレゼンテーション発表会もあり、パワポを使って資料を作ることと発表することは一定のポジション以上の人は誰でもできること(通らざるを得ない道)だと思っていました。
そして会社ではパワポのひな形があるので、誰もが一定レベル以上の資料を作れるものだと認識していて、特に自分が資料作成が得意だという自覚は全くありませんでした。
仲間から資料作成が評価される
当たり前のように資料作成をしていた私ですが、次第に勉強会を立ち上げた仲間たちから評価を得るようになっていきました。それが強みとして表れたのが、認定スタディ―グループの研究成果発表会というイベントでした。
パワーポイントで資料を作成し、ギャラリーの前で発表する。これまで会社では何度もやってきたことで、会社員の時と同じ要領で私が資料の準備とプレゼンテーションを担当しました。プレゼンテーション資料を見た仲間の一人から、「ぜひ勉強会をやってほしい!」と熱い要望があり、えっ、私が作る資料ってそんなに・・・?!と驚きを感じました。
自信はありませんでしたが、ニーズがあるのなら…と勇気を出して資料作成のセミナーを主催することにしました。
初めてセミナーを主催する
仲間の後押しを受けて、「元SEが実践する!士業のための『映える』パワポ資料作成術」というタイトルでセミナーの告知をしました。
告知した時点ではまだコンテンツは完全には固まっておらず、5人くらい参加してもらえたら嬉しいなという見通しでした。しかし、驚くことに実際30名の方から申込をいただき、リアルタイムでは15名の方に参加をいただきました。
このセミナーの開催を後押ししてくれた仲間のひとりが、SNSなどを駆使して同じ士業の方向けにセミナーの発信をしてくださったことが集客につながり、本当に感謝です。
初めてのセミナー主催だったので、うまくいくかとても不安でしたが、参加者の方から嬉しい意見を多くいただき、ほっとしました。
そしてこれを機に動画編集スキルも身に着けることができました!
この回に参加いただいた方の口コミにより、「また開催してほしい」という声をいただき、第2回・第3回の開催に至りました。復習用に動画を提供していますが、”バイブル”として動画を何回も再生して熱心に学んでいただいた方もいらっしゃり感謝です。
動画だと1.5倍速・2倍速にして視聴する方も多いです。私の動画は1.5倍速にしても聞きやすいそうで、かといって標準でも決してペースは遅くなくちょうどいいというご意見もいただき、新たな気づきを得ることができました。
自分ではなかなか強みに気づくことはできないので、こうやって他の方からアプローチしてもらうことが大切です。
このセミナーを受けた方が、研修講師や出前授業などで資料作成ノウハウを発揮しているのを見て嬉しかったです。
出版社へのアプローチ
想像以上に多くの方にセミナー内容が刺さり、資料作成ノウハウが評価されていることがわかり、セミナー主催を後押ししてくれた仲間から出版社へのアプローチを提案されました。仲間を通じて、出版社へアプローチの機会をいただくことができたので、コンテンツの紹介を行いました。しかし、世の中では生成AIが話題になり始め、パワポの資料作成もそのうちAIが行う時代になるから価値があるのは今だけなのではないか?という懸念がありました。
AIを使った資料作成を研究
脅威となりうる生成AIを私も勉強しました。そして勉強した内容を第2回のセミナーに反映させてブラッシュアップした内容でお届けしました。
AIに対して的確な指示を出せないと意味がない、ゼロからマイナスに引き上げる手段としてAIは活用して、ゼロからプラスの価値を与えるのがその人の力量だと認識しました。
AIでは代替不可なノウハウとしてDVDコンテンツ化決定
AIはものすごい速さで進化をしていますが、差別化できる資料はAIでは実現できないという判断で、私の資料作成ノウハウのコンテンツ化が決定しました。私の資料作成ノウハウを発掘し、強みだと認識させてくれ、セミナーの開催を後押しして出版社へつなげてくれた仲間が、コンテンツ化の決定を誰よりも喜んでくれて本当に嬉しかったです。
その人の個性・価値が出る「映える」仕上がりのイメージが持てないと、AIに指示をすることができません。このセミナーはツールの使い方や技術よりも、仕上がりイメージを描くためのエッセンスを中心に構成していましたので、今あるコンテンツそのまま状態で商品化が決定しました。
毎回ブラッシュアップして追加してきた内容(AI利用・アニメーション・小道具など)すべてを含めた形でコンテンツを再構成しました。
収録を経て発売へ
日本法令さん本社のスタジオで収録を行いました。収録の様子や発売に至るまでのプロセスはこちらをご覧ください。
おわりに~強みの発掘のために
資料作成という強みを認識したきっかけは、仲間からの評価・声掛けでした。しかし、それに至ったのは勉強会運営という役回りに対して、私が決して手を抜かなかったからだと思っています。
勉強会の運営はいくらがんばっても1円の売上にもなりませんが、手を抜かず自分ができることを一生懸命やりました。自主勉強会だから~ともし手を抜いていたら、仲間の目にも止まらなかったと思います。
これまで経験してきたこと、あとで何が役に立つのか本当にわからないものです。
私は最初から資料作成が得意だったわけではありません。初めて資料作成を経験したときは、見映えもひどく、時間ばかりかかり、役員のOKが出るまで13回やり直し、終わらない果てしなさと自分の能力不足に絶望し、残業中にひっそりトイレで泣いていました。それでもやるしかないと必死にやりとげました。その時の経験がスタートでこんな形で世の中に出ることになるなんて・・・!
自分では気づけない強みは実はたくさんあるのかなと思います。それを気づかせてくれるのが周囲の関係者、仲間です。その強みを発掘してもらうためには、まずは自分ができることを常に一生懸命やることが大事だと思います。
私自身、まだまだ社会保険労務士として未経験の分野が多いです。強みを認識できるよう、何でも挑戦する、決して手を抜かず、できることは常に一生懸命やる!ということを引き続き意識していきます。